1980年12月のこと
1980年12月を思い出そうとすると、博多駅のホームに立って電車を待つ自分の姿をまず思い出す。
駅のホームの売店に並べられた、ジョン・レノンの表紙の週刊誌を恨めしそうに睨んだ私がいる。
真っ暗な博多駅のホームに立って、しばらく睨みつけたけどジョン・レノンの表紙の週刊誌をやっぱり買った。
20歳の私、当時着ていた白いコートの襟をたてて、冷たい風が吹くたびに、当時使っていたKOSE化粧品のファンデーションの香りがした。
ジョン・レノンを知らない若い女性の苛立つコメントとともに流れるビートルズの初期の曲。ラジオに向かって、怒鳴った。
苛立ち、怒り、私の心の奥底からあふれ出る汚い感情をどこに捨てたらいいのか、わからなかった。
今でもそんな録音したテープをまだ持っている。そんな週刊誌のスクラップをまだ持っている。
私の汚い怒りや憎しみの感情とともに捨てる場所を今でも探し続けている。